概要

　本研究では，重度肢体不自由者，またその支援者や専門家が実際に使用している既存の入力機器の有効利用とそのノウハウの共有をはかることを目的としたデータベースアプリケーションシステム｢入力機器使用事例・製品検索システム」を構築した．現在，本システムはweb上に公開し，運営を行っている．

　本システムでは，重度肢体不意自由者の疾患や身体特性を考慮し，システムに登録されている情報（重度肢体不自由者に関わる理学療法士や医師などの専門家や管理者である著者によって登録された入力機器の使用事例情報と入力機器の製品情報）を参照したり，それらの情報を連携させることで，疾患や身体特性に合う入力機器に関する知識を獲得することができる．web上にシステムを公開，運用している点を活かし，重度肢体不自由者の支援に携わる理学療法士やリハビリテーションエンジニア，医師などの専門家がそれぞれwebブラウザを介して実事例を登録していくことができる．このことはシステム内のデータ充実を促進させるとともに，システムの有用性を高める．システムの有用性が高まることで，システムユーザとして第一に考えられる重度肢体不自由者やその支援者だけでなく，第三者である専門家の知識蓄積の場，学習の場となることが期待される．

　本システムは検索，編集，登録の三つのメニューから構成されている．検索メニューでは登録されている入力機器の使用事例・製品情報を参照することができる．編集メニューではパスワードによりユーザ認証を行い，編集に適したユーザであると確認されれば登録されている入力機器の使用事例・製品情報を編集することができる．登録メニューでも編集メニューと同様のユーザ認証を行い，入力機器の使用事例・製品情報を登録することができる．