2008年度 修士論文
「重度肢体不自由者のための入力機器使用事例・製品検索システム」

情報バリアフリー研究室 吉村 啓太郎
Contents  1.概要  2.背景 3.システムの特徴  4.実行画面  5.評価・課題 6.結論


 システムの特徴

1)画像をweb上にてデータベースに保存できる.
 事例情報,製品情報ともにweb上にてGUIを用いてデータベースに保存できる.また,写真の画像ファイルはwebサーバにアップロードした後,データベースに保存できる.

2)事例入力フォーム
 共同研究者であるリハビリテーションエンジニアの意見をもとに事例入力フォームを作成した.これは,入力機器の設置場面の写真や繰り返し行える動作などユーザ視点に立った項目を設けるとともに,疾病ごとにフォームを作成し,専門家にとっても入力し易いものとした.これらの配慮は,重度肢体不自由者の様態は原因疾病の種類によって千差万別であり,同一の疾病であっても障害の程度に大きな差があるということに起因する.


図1:事例入力フォーム

3)検索法
 ユーザ(ここでは重度肢体不自由者やその介護者,専門家などが挙げられる)は疾患や疾患における障害の状態など入力機器使用ユーザの身体特性と,どのような入力機器をどういう目的でどういう姿勢で,どのように使用しているかという「入力機器使用事例情報」を検索することができ,さらに,事例において使用される入力機器製品の詳細である「入力機器製品情報」を事例検索時に直接検索することが可能である.これは,専門家が重度肢体不自由者の患者に対して入力機器を提案する場面においても,専門家自身のノウハウに加えて,システムに登録されている事例情報・製品情報を考慮することで,さらに患者の疾病や身体特性に合う最適な入力機器,その使用法を提案することが可能であると考えられる.


図2:情報検索の流れ

4)事例の更新機能
 事例の履歴検索が可能である.本システムでは,事例の更新が可能である.これは,重度肢体不自由となる疾患には進行性の疾患も含まれており,進行前と進行後で使用する入力機器が変わる可能性があるためである.事例の履歴検索では過去に登録した事例をベースに新たに事例を登録すること(事例の更新)ができ,更新された事例とともに過去の事例も情報として反映させることができる.更新後の事例では更新前の事例の履歴が情報として登録され,この履歴を追うことで,ある事例が前後にどういう事例から更新されたのかをそれらの事例のみを抽出して出力させることを可能としている.

5)ログイン認証
 
情報の登録・編集・削除は管理者パスワードにて認証し,ログインを管理する.ログインを行えば,管理者だけではなく,第三者による情報の登録も可能である.

6)第三者によるデータ登録
 web上にシステムを公開,運用しているので,専門家(重度肢体不自由者の支援に携わる理学療法士やリハビリテーションエンジニア,医師など)がそれぞれwebブラウザを介して実事例を登録していくことができる.このことはシステム内のデータ充実を促進させるとともに,システムの有用性を高める.システムの有用性が高まることで,システムユーザとして第一に考えられる重度肢体不自由者やその支援者だけでなく,第三者である専門家の知識蓄積の場,学習の場となり,患者にその知識が活かされることが期待される.


図3:システムの活用例


                               
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