2011年度 卒業論文  宮永 峻資
『音声出力機能付き触図用ワンクリック音声領域割り当てツール』





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研究の概要
研究の背景
   ベースシステムについて
   作成したツールについて
まとめ
リンク


研究の概要

 本研究では,視覚障害者が音声機能付き触図を利用するにあたり周囲の晴眼者、特に盲学校の教員の方がWebから入手した画像やコピーされている画像など様々画像でも簡単に素早く音声付き触図に変換するための幾つかの機能を試作した。
 色を処理するツールでは色を選択して消去することで容易に必要な色のみの抽出ができるツールや,音声を割り当てる領域が破線である時,実線に変換するツール,さらに音声を割り当てたい領域を指定することで,自動で領域を作成するツールなどである。
 これらのツールにより視覚障害者の周囲の人々が容易に触図を作成することが可能となり,各々の視覚障害者に適した触図を作成できるようになった。


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研究の背景


 平成18年度厚生労働省の調査によると全国に視覚障がい者は約31万人、そのうち約7割の人が点字を理解できない。これは近年、糖尿病や事故で視力を失った中途失明者が増加しているからである。
 また触図という線や面、点などが浮き上がっている特殊な紙がある。これは視覚障がい者にとってモノの形を理解するのに非常に便利なツールである。  しかし、触図はモノの説明に点字が用いられているため利用できる視覚障がい者が限られている。    
 そこで情報バリアフリー研究室では点字を用いるのではなく音声を用いた「音声機能付き触図」(以降、べーすシステムと呼ぶ。)といものが研究、開発されている。    

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ベースシステムについて


 情報バリアフリー研究室で研究されているベースシステムはタッチパネルに乗せた触図の情報を得たい場所を押すと、押された場所の情報を音声で案内してくれるシステムである。    
 このシステムを利用するために事前に触図の作成と音声付き触図データという画像に音声データを割り当てたデータの作成を行わねばならない。
    


図1 ベースシステムの外観

    


図2 音声機能付き触図のイメージ

 
 

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作成したツールについて

   
 本研究では音声機能付き触図データの作成を容易にするツールを三つ試作した。
   
1.色選択ツール
2.破線対応処理ツール    
3.ワンクリック音声領域割り当てツール



   

図3 ワンクリック音声領域のイメージ

1.色選択ツール

 触図の作成に用いる立体コピー機は黒画素に熱を加えて立体画像を作成する。そのため必要な色の情報を事前に黒画素にして、必要でない色の情報を消去する必要がある。    
 そこで試作したのが色選択ツールで触図の作成に必要な色の情報の抽出を行うツールである。これは必要ない色の情報を指定して消去することで必要な色の情報の抽出を行うものである。    
 機能としては指定画素消去、黒画素消去、範囲内画素消去、白画素以外を黒にである。    
指定画素消去は指定した色の消去を行う。黒画素消去は画像上の黒画素を消去を行う。範囲内画素消去は画素を消去したい範囲を指定して、指定された範囲の中の画素を消去を行う。白画素以外を黒には抽出された必要な色情報を黒画素に変換する。



図4 色選択ツールを用いて画像処理を行なった結果




2.破線対応処理ツール

 音声領域をワンクリックで作成するためには領域が閉ざされた領域である必要があるので、事前に破線を実線に変換し領域を閉ざされた領域にする必要がある。 そこで、画像上の破線が存在する領域を指定して、指定した領域内部の孤立点もしくは短点同士を結ぶことで破線を実線に変換するツールである。        


図5 破線対応処理ツールを用いて画像処理を行なった結果





3.ワンクリック音声領域割り当てツール

   
 ワンクリックで音声を割り当てる領域を自動で作成するツールです。音声を割り当てたい領域の内部一か所をクリックすることで領域を構成している全座標を自動で抽出する。    


図6 ワンクリック音声領域割り当てツールの実行結果





  
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まとめ

 本研究では盲学校での職員による独自の触図の作成を考慮して、簡単に、短時間で触図を作成できるツールの試作を行った。  実際に試作したツールは非常に使いやすく作成しているため、盲学校の職員の方でも容易に使う事が可能だと思う。
 しかし、本研究では実際に盲学校で使用してもらうことができなかったのが、実際に使用してもらう中でさらに必要な機能の発見も考えられるため、まだまだ開発の余地がある。
 本研究を通して、音声機能付きの触図が簡単に短時間で作成することが可能となったため、音声機能付き触図はますます利用頻度が向上すると思われる。


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リンク


  ●立命館大学
  
  ●情報バリアフリー研究室


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