2009年度 卒業論文 冨岡 翔
『重度肢体不自由者のための入力機器使用事例・製品検索システム』



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研究の概要
研究の背景
   システムについて
   システムの新機能
まとめ
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研究の概要

 本研究では重度肢体不自由者,またはその支援者,専門家が使用している既存の入力機器の使用法のノウハウなどを共有するためのデータベースアプリケーションシステム「入力機器使用事例・製品検索システム」を構築した.    
 本システムには登録機能が備わっており,専門家などによって登録された事例情報や製品情報を蓄積できるため,この情報を参照することによって,重度肢体不意自由者の疾患や身体特性に合う入力機器製品の知識を獲得することができる.最終的にはweb上に公開し,運営を行っていくことを目的としている.web上に公開できるようになれば, 重度肢体不自由者の支援に携わる理学療法士やリハビリテーションエンジニア,医師などの専門家がそれぞれwebブラウザを介して実事例を登録していくことができる.このことは,システム内のデータを充実させ,システムの有用性をより高める.システムの重要性が高まることで,重度肢体不自由者やその支援者のためだけではなく, 第三者である専門家の知識蓄積の場,学習の場となることが期待される(図1 参照).
 本システムは検索,編集,登録の三つのメニューから構成されている.検索メニューでは登録されている入力機器の事例情報・製品情報を参照できる. 編集メニューではパスワード入力によりユーザ認証を行い,編集に適したユーザであると判断されれば登録されている入力機器の使用事例・製品情報を編集することができる. 登録メニューでも編集メニューと同様のユーザ認証を行い,入力機器の使用事例・製品情報を登録することができる.

図1 システムの活用例

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研究の背景


 従来,重度肢体不自由者の入力機器選択の場面において,医師やリハビリテーションエンジニアなど専門家が相談窓口となり,経験に基づいて,知っている選択肢の中から患者に適した入力機器と使用方法を提供している.しかし,このような選択法では以下のような問題点がある.

@ 新製品の見落とし
A 類似例の少ない障害への対応の難しさ
B 他分野の専門家同士は情報を共有する場がない


 以上のような問題点を踏まえた上で,本システムでは専門家の持つ入力機器選択のノウハウと最新の入力機器の製品情報の2種類の情報をデータベースシステムで管理,これをWeb上で常に閲覧できるようにする.    
   


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システムについて

 本システムは検索部登録部編集部から構成されている(図2 参照).

図2 システムの構成

 検索部では登録されている入力機器の使用事例・製品情報を参照することができ,編集部登録部で登録されている入力機器の使用事例・製品情報を編集,登録,更新することができる.
     
 メインメニュー画面を図3に示す.    

図3 メインメニュー画面


 検索部は事例検索メニューと製品検索メニューの2種類のメニューがある.
事例検索メニューとして“症例一覧出力”,“症例一覧出力(表示項目選択式)”,“入力時使用部位別検索”,“疾患名別検索”,“症例の履歴検索”,“症例で使用されている入力機器製品の検索”がある.
製品検索メニューとして“製品の一覧出力”がある.

   
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システムの新機能

 2008年度卒業の吉村氏の作成したベースシステムに対する評価を元に,以下の新機能を追加した.    


1.「症例一覧出力(表示項目選択式)」

 レイアウトが見づらいと指摘を受けていたベースシステムの「症例一覧出力」の画面を図4に示す.
   
 この機能は,以下のような評価を得た.     
  • 以前の一覧出力に比べて新たな一覧出力は,明らかに見やすいレイアウトになった.
  • 「個別出力」の機能は事例を詳しく見たいときに便利.
   

図4 ベースシステムの「症例一覧出力」の画面

   
 改良した「症例一覧出力(表示項目選択式)」のページは,はじめに表示したい項目のチェックボックスにチェックを入れる(図5 参照).これにより表示したい項目のみを表示することができる(図6 参照).    
 ここで非表示にした項目を表示させるには,出力画面左にある「個別表示」のボタンをクリックする.これにより,その症例のみをすべての項目を削ることなく表示させることができる(図7 参照).    

図5 「症例一覧出力(表示項目選択式)」の項目選択画面

   

図6 「症例一覧出力(表示項目選択式)」の出力画面

   

図7 「症例一覧出力(表示項目選択式)」の個別出力画面



2.「使用動作部位別検索」


 事例情報を登録されている使用動作部位別で検索できる「使用動作部位別検索」機能を構築した(図8 参照).この機能は,動作部位を「上肢」「下肢」「頭部」「体幹」」の4つのカテゴリに分類し,検索できるようにした機能である.

 この機能は,以下のような評価を得た.   
  • 「疾患名別検索」と同じく有用性はあるだろう.
  • 使用部位が「上肢」「下肢」「頭部」「体幹」と分かれているが,もう少し細かく分けたほうが良い.
  • 「使用部位別検索」と「疾患別名検索」の両方に言えることだが,項目を選んだ後に,更に絞込みがほしい.これは文献の検索のような検索法といえる.

図8 「使用動作部位別検索」のトップ画面

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まとめ

 本研究では重度肢体不自由者,またはその支援者,専門家が使用している既存の入力機器の使用法のノウハウなどを共有するためのデータベースアプリケーションシステム「入力機器使用事例・製品検索システム」を構築した.
 本システムは検索,編集,登録の三つのメニューから構成されている.検索メニューでは登録されている入力機器の事例情報・製品情報を参照できる.編集メニューではパスワード入力によりユーザ認証を行い,編集に適したユーザであると判断されれば登録されている入力機器の使用事例・製品情報を編集することができる.登録メニューでも編集メニューと同様のユーザ認証を行い,入力機器の使用事例・製品情報を登録することができる.
 本システムでは専門家などによって登録された事例情報や製品情報を蓄積できるため,この情報を参照することによって,重度肢体不意自由者の疾患や身体特性に合う入力機器製品の知識を獲得することができる.また,本システムには登録機能も備わっており,web上に公開できるようになれば,重度肢体不自由者の支援に携わる理学療法士やリハビリテーションエンジニア,医師などの専門家がそれぞれwebブラウザを介して実事例を登録していくことができる.このことは,システム内のデータを充実させ,システムの有用性をより高める.システムの重要性が高まることで,重度肢体不自由者やその支援者のためだけではなく,第三者である専門家の知識蓄積の場,学習の場となるという点において,問題点の解決策となるアプローチであると考える.
   
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リンク


  ●立命館大学
  
  ●情報バリアフリー研究室

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