2009年度 卒業論文   中村 亮  『WiiRemoteを用いたインターネット検索アプリケーションの試作』



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研究の概要
研究の背景
アプリケーションについて
まとめ
リンク




研究の概要

 本研究では,腕のみのの動作でインターネット検索を行えることを目的とし,任天堂から発売されている家庭用ゲーム機WiiのWiiRemoteに内蔵されている3軸加速度センサーを用いてインターネット検索の操作を行えるアプリケーションの試作を行った。

 このアプリケーションはBluetoothによりPCとWiiRemoteを接続し,Webブラウザ画面と文字入力画面が一体となったインターネット検索画面を操作することができる。Webブラウザ画面では,WiiRemoteを左右に振ると項目切り替え,上に振ると決定という操作ができて,テキストボックスにフォーカスが当たっているときに上に振ると文字入力画面にフォーカスが移動する。文字入力画面でも左右と下で項目を切り替え上で決定して文字をWebブラウザのテキストボックスに送るというものである。

 本研究は事故などで半身麻痺になり寝たきりの人や,腕が上がらなくなった人を対象としている。

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研究の背景

 厚生労働省の調査結果(平成18年度調査)では,肢体不自由者(上肢・下肢を含む)のうち16.6%がパソコンを利用するとこたえており,68.8%が利用しないと答えている。

 障害者におけるパソコン利用は,障害別の入出力装置が必要にはなるが,それさえ考慮すれば社会参加へのツールに成り得る。パソコンを利用できれば,以下のような生活圏の拡大が可能だと言える。
  ・自己主張の確立
  ・生き甲斐や目標の確立
  ・地域社会との繋がり
  ・行動範囲の拡大


 また,インターネットを利用することで,より行動範囲の拡大ができ,迅速な情報共有が可能になる。本研究で試作したアプリケーションはこのような支援に役立つ可能性があると考えられる。

 
 

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アプリケーションについて


 アプリケーションは大きく2つの画面に分かれている。

1.Webブラウザ画面
2.文字入力画面




   



1.Webブラウザ画面

 Webブラウザ画面でWiiRemoteを右(+X)に振ると次の項目(Tab)、左(-X)に振ると前の項目(Shift Tab)、上(+Z)に振るとEnter(テキストボックスにフォーカスが当たっている場合は文字入力画面へ)、下(-Z)に振るとスクロールバーが下に下がる仕様になっている。                  
 またWebブラウザ画面の上部に“戻る”ボタン、“進む”ボタン、“更新”ボタン、“ホーム”ボタン、“閉じる”ボタン、アドレス表示部を備えている。



2.文字入力画面

 文字入力画面でWiiRemoteを右に振ると右の文字へ、左に振ると左の文字へ、下に振ると下の文字へ、上に振るとフォーカスが当たっている文字を文字入力画面のテキストボックスに入力、“Enter”ボタンでWebブラウザ画面のテキストボックスに文字を送る。“戻る”を押すとWebブラウザのテキストボックスにフォーカスが戻る。文字以外にBack SpaceとSpace、文字変換と小文字、英数字切り替え機能が備わっている。





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まとめ

 本研究では、リアルタイムな挙動を検知して少しの動作での入力を可能とする。ボタンを押さずに腕の動きだけで操作するデバイスとして研究としても障害者にとっても全く新しいものを製作した。

 ソフトウェア分野に関してはこれまで3軸加速度センサによりリアルタイムの動作の入出力を可能とするシステムを開発できた。ハードウェアの分野では、これまで高価なものであった3軸加速度センサを家庭用ゲーム機のリモコンという非常に安価に入手できるものを使用することにより、システムの有用性を導くことができたはずだ。
 しかし、まだまだ開発の余地は多くある。使用する人によってリモコンの振り方や大きさは全く違う。その度に、範囲指定の数値を変更するようではシステムとしては致命的になる。動きの範囲をユーザ登録できるようにするなど、精度を向上させていく開発が必要である。

 本研究を通して、WiiRemoteの有用性は非常に高いものであることがわかる。この機能を活かして他のデバイスなどと組み合わせれば、より良いデバイスが製作できるであろう。WiiRemoteを用いた研究はさらに改良、開発を進めていくことが求められるだろう。


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リンク

  ●立命館大学
  
  ●情報バリアフリー研究室


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