2009年度卒業研究

下肢障害者のためのJR大阪環状線内鉄道経路案内システム−経路探索部−

  試作システムの機能
   乗換検索機能
   バリアフリー情報検索機能
  試作システムの構成
   乗換検索機能
   バリアフリー情報検索機能

■概要

 本研究では,高齢者・下肢障害者が少しでも外出しやすくなるための環境づくりの一環として,高齢者・下肢障害者の乗り換えを考慮したJR大阪環状線内のJR各線と大阪市営地下鉄各線における乗換案内システムの作成を行った.
 日頃,我々が利用する乗換案内システムは,健常者を対象としたものが多い.しかし,健常者を対象としたシステムでは,高齢者・下肢障害者にとって乗換に要する時間や経路に無理が生じてしまう場合がある.そのため,高齢者・下肢障害者が電車の乗換に余裕を持って移動できる,時間や経路を考えた案内システムが必要である.
 そこで,本システムでは利用者の出発駅・到着駅と合わせて,利用者の身体条件を入力してもらうことにより,利用者に最適な乗換経路を提示する.また,それと同時に,利用駅のエレベーター,エスカレーターの有無などのバリアフリー情報も提供する.
 本システムでは,公共施設が多く利用頻度が高いと考えられるJR大阪環状線内のJR各線25駅,地下鉄各線33駅の10路線,58駅を対象とした.

対象路線図

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■試作システムの機能

 本システムは,乗換検索機能とバリアフリー情報検索機能の2つから構成される.まず,機能選択画面で,乗換検索とバリアフリー情報検索のどちらを利用するかを選択してもらう.

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●乗換検索機能

 「乗換案内」を選択すると、以下の画面が現れる.
 ページ左の入力項目に入力を行う.駅名の入力方法には,フィールドに駅名を直接入力する方法,路線図の駅をクリックして駅名を入力する方法の2つがある.
 項目をすべて入力し,検索ボタンをクリックすると,以下の画面に遷移する.
 同じ駅名で路線が違う場合,候補が複数見つかったとしてプルダウンメニューから路線を決定することができる.
 路線決定後,決定ボタンをクリックすると,結果出力画面に遷移する.
 同じ出発駅,到着駅で,車椅子を利用するルートは以下のようになる.

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●バリアフリー情報検索機能

 「バリアフリー情報」を選択すると、以下の画面が現れる.

 ページ左のテキストボックスに検索したい駅名を入力する.駅名の入力方法には,フィールドに駅名を直接入力する方法,路線図の駅をクリックして駅名を入力する方法の2つがある.
 入力後,検索ボタンをクリックすると,以下の画面に遷移する.
 本機能では,検索画面で入力された駅名を含む全路線,全駅のバリアフリー情報を表示する.

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■試作システムの構成

本研究では,共同研究者である島津柊子氏がデータベース構築,筆者がプログラミングを担当した.ここでは,自身の担当であるプログラムについて述べる.

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●乗換検索機能

 本システムの乗換検索機能のフローチャートを示す.

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まとめ

 本研究では,高齢者・下肢障害者が少しでも外出しやすくなるための環境づくりの一環として,高齢者・下肢障害者の乗換時間を考慮したJR大阪環状線内のJR各線と地下鉄各線における乗換案内システムの構築を行った.
 従来の乗換案内システムでは,出発駅と到着駅の条件から最短経路を算出している.しかし,そのシステムでは駅間の車椅子での移動に無理が生じる場合がある.そこで本システムでは,従来のシステムの検索条件に身体条件の入力項目を追加し,高齢者や下肢障害者がより使いやすいシステムとしている.
 しかし,現段階では駅の混雑率等を考慮できていないため,現実的な最適経路を算出できたとは言い難い.もし駅の混雑率を考慮できれば,高齢者や下肢障害者がより利用しやすいシステムになるのではないだろうか.本システムでは,駅の混雑率に一定の基準を設けることが難しいと判断したため考慮しなかったが,いずれそのようなシステムが開発されることに期待したい.

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