日本では高齢化が進み,福祉分野に対する需要は今後も高まってくる.移動に不自由を感じる人も一挙に増え,今後は高齢化による障害者の増加も予測される.障害者自らが運転できる車の必要性は,ますます高まっており,今後もその需要は増加していくだろう.
また,介護車両も快適で安全な移動の手段として,大きな意味をなしている.このため福祉車両による技術的支援が不可欠となっている.
運転補助装置は利用者の能力に合った装置でなければ,運転をスムーズに行うことができない.運転補助装置の種類は多くあるにもかかわらず,情報が少なく,あまり認知されていない.
また,様々なメーカから多くの装置が販売されているが,それらの情報を統一に扱ったシステムがないという問題がある.そのため,利用者に適合した運転補助装置を選ぶことは難しいといえる.
本研究では,Webブラウザを用いて,利用者に障害の状態について質問することで,利用者の障害状態を考慮した運転補助装置が案内できる検索システムを構築した.
介護車両についても利用者が必要とする介護車両を案内できる検索システムを構築した.
日本の身体障害者数は2006年で約348万人おり,そのうち,肢体不自由者は約176万人いるといわれている.つまり,身体障害者の約50%が身体の運動機能に障害のある方である.
身体障害者の中には先天的な人だけでなく,交通事故や病気等によって後天的に障害を負った人も多くいる.そうした人々が生活を楽しみ,意欲的に社会に参加するには,好きなときに自由に,そして快適に移動できる手段が必要である.
身体障害者の人が,自動車の運転免許を取得するケースも着実に増えている.1997年に約218,000件だった条件付自動車運転免許の付与件数は,2007年 には約250,000件に達しようとしている.
障害者自らが運転できる車の必要性は,ますます高まっており,今後もその需要は増加していくだろう.
福祉車両は,移動が不自由と感じている人だけでなく,介護をより効率よく行いたいと考えている人にも,快適で安全な移動の手段を提供する.
運転補助装置は利用者の能力に合った装置でなければ,運転をスムーズに行うことができない.運転補助装置の種類は多くあるにもかかわらず,情報が少なく,あまり認知されていない.
また,様々なメーカから多くの装置が販売されているが,それらの情報を統一に扱ったシステムがないという問題がある.そのため,利用者に適合した運転補助装置を選ぶことは難しいといえる.
この問題を解決するために,本研究では利用者に障害の状態について質問することで,利用者の障害状態を考慮した運転補助装置が案内できる検索システムを構築した.
介護車両についても利用者が必要とする介護車両を案内できる検索システムを構築した.また,多くの利用者が使用できるようにWebブラウザを用いて,本研究を行った.
本研究によって,利用者が必要とする運転補助装置・介護車両を探し出す助けになると考えられる.
試作したシステムは、検索部と登録・編集部の2つから成り立っている.試作したシステムのメイン画面を図1に示す.
運転補助装置の検索は,障害の状態を左手・右手・左足・右足に分け,それぞれの障害の状態をチェックすることにより,ユーザに適した運転補助装置を案内できるようになっている. 左手・右手は障害の状態を,@障害なし,A握力あり+可動範囲制限,B握力なし+可動範囲制限,Cマヒまたは欠損,の4段階に分けている. 左足・右足は@障害なし,A障害あり,の2段階に分けている. ユーザにあてはまる障害にそれぞれ4項目チェックしてもらい,最後に決定ボタンを押すことで,検索画面結果が表示される. 図2に運転補助装置の検索画面を示す.
介護車両の検索は,表示された質問に答えていく分岐形式で行う. また,どの座席に座るのか,どのタイプを希望か,というような選択にすることにより, 介護車両の新規登録の際にどのカテゴリに該当するのか,分類できるようになった. また,この選択方法だと障害の状態から限定された装置だけを紹介するのではなく,関連した複数の装置を紹介することができる. これによりユーザの使う場面や環境に応じた介護車両の検索できるようになった.介護車両の検索画面を図3に示す.
メーカ別一覧は,メーカ名からそのメーカの運転補助装置の一覧が見ることができる. これにより,ユーザが好みのメーカや興味のあるメーカの運転補助装置を容易に調べることが可能になり, また利用者が同一のメーカで運転補助装置を統一できるようになった. メーカ別一覧表示の画面を図4に示す.
運転補助装置及び介護車両の検索を行うと,最終的にそれぞれの条件にあった検索結果画面が表示される. 検索結果画面に表示される項目は, @写真 Aカテゴリ名 B装置名 C機能 D価格 E発売元 である. 検索結果画面の一例を,図5に示す.
本研究では,利用者に障害の状態や環境に適合した運転補助装置及び介護車両を見つけ出すために,PHPにより「障害運転者支援装置案内システム」を作成した.
現在,様々なメーカから多くの装置が販売されているが,それらの情報を統一に扱ったシステムがないため,検索方法が難しく,自分に合った機器を探すのが困難であるのに対して,
本システムでは,より細かく障害を分類し,検索結果件数を大幅に増やすことで,利用者により適した運転補助装置を案内できるようになり,また介護車両検索についても新規登録・編集を可能にし,
前システムよりもさらに信頼性の高いシステムを提供することができた.
よりユーザに適した運転補助装置・介護車両が案内されるよう,数々の資料,文献から質問項目を選定した.今後,新たな運転補助装置・介護車両がでた場合,システム上で登録していくことで,
ユーザにとって使いつづけられる価値のあるシステムになると考えられる.
今後,このシステムを発展させることができる課題が,いくつかあげられる.
まず,システムに関しては,メーカ別一覧表示が運転補助装置のみにしか対応しておらず,介護車両についても登録できるようになれば,
よりメーカ別一覧表示の内容が充実したものになる.さらに,利用者および製造業者からの一度本システムを利用し意見を頂くことで,
さらに改善し使いやすいシステムになるだろう.
そして,最も大きな課題は,インターネット上にアップすることである.
ユーザに利用していただくことで,はじめてこのシステムが生かされる.
このシステムが利用されることで,ユーザにとって必要とする運転補助装置・介護車両を案内できる有意なシステムとなることを祈っている.