高齢者の熱中症を減らす目的で、高齢者の熱中症の特徴について調査を行った。その結果、自宅での熱中症発生件数が50%以上であることがわかった。そこで、USB温湿度計を用いてリアルタイムで室内を監視し、警報を音声出力するシステムを試作した。熱中症の危険度は、予防するための指標であるWet
Bulb Glove Temperature(湿球黒球温度)を使用した。
WBGTとは熱中症を予防するための指標であり、乾球温度・湿球温度・黒球温度を専用の計測器(図1・図2)で測り、計算によって求める。

図1 設置型WBGT計測器 図2携帯型WBGT計測器
しかしこれらの専用機は高価なので本研究ではUSB温湿度計(図3)とWBGT推定式によってWBGTを求めた。USB温湿度計は乾球温度と相対湿度を計測できる。

図3 USB温湿度計
本システムはUSB温湿度計を用いて、高齢者の熱中症を予防を支援するシステムである。ユーザはシステムを起動するだけで、リアルタイムで室内の環境を監視し、熱中症の危険度に応じた警報によって予防することができる。
以下の図に処理の流れを示す。

一連の流れとして、USB温湿度計で計測した乾球温度と相対湿度を使い、黒球温度と湿球温度を求める。求めた2つからWBGTを推定式から求める。求めたWBGTによって危険度を判定し、危険度に応じた警報音声を出力することで熱中症の予防に繋げる。
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熱中症の危険度を表すものとして以下のものがある。
①温度・湿度・WBGTの数値
②警報音声
③インジケータ
④アイコン
以下に実行画面を示す。(マウスポインタを画像に合わせると計測後)

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高齢者の熱中症の50%以上が自宅で起こっている。そこで本研究ではUSB温湿度計用いてリアルタイムで室内の環境を監視するシステムを構築した。個々の部屋の環境に対応することで、既存のテレビやラジオで流れる熱中症情報では防げなかった事例でも、予防することが可能となった。
最後に、本システムを使用することで、少しでも高齢者の熱中症発生件数が減ることを切に願っている。
立命館大学
立命館大学 情報理工学部
情報バリアフリー研究室(教員)
情報バリアフリー研究室(学生)
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