2007年度 卒業研究
『代替テキストによる用語解説つきWeb閲覧支援プロキシサーバの試作』
情報バリアフリー研究室 小関 諒
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∇ 目次
1.研究の概要
2.社会的背景
3.試作したシステムについて
4.まとめ



∇ 研究の概要

  現在,インターネットの普及によってたくさんの情報が容易に得られるようになったが,一方で,デジタルデバイドの進行によってコンピュータを使いこなせない人も増えている.コンピュータを使いこなせない初心者が,使いこなせるようになるためにはまず知識を蓄える必要があり,そのためには書籍やインターネットを利用して調べなければならないが,初心者が行き詰まるのは正に「調べる」ときで,専門用語の多さや難しさに抵抗が大きいことが挙げられている. そこで,本研究では,初心者でも簡単に設定でき,インターネットを介して調べる際の専門用語への抵抗を,検索する手間をかけずに語句説明を付加することで軽減するシステムの試作を行った.





∇ 社会的背景
∇ 情報社会とデジタルデバイド

  情報社会とは,情報操作によって付加価値を生産する産業(知識産業や情報産業)が主流となる社会である.また,近年ではインターネットの普及率が著しく高くなってきており,人々の日常生活の中で情報に対する要求が強まり,情報メディアに接触する時間量が増大し,意思決定や適応行動にとって情報の重要性がますます大きくなる等,一般に情報への依存度がきわめて高い社会である.
 しかし,人々がしっかりとした選択能力をもたないと,過剰な情報に振り回されて適切な判断ができず,かえって混乱に陥る危険がある.また個人に関する情報が本人の知らない間に不当に利用され,プライバシーを侵害する危険も少なくない.そして,情報通信技術(特にインターネット)の恩恵を受けることのできる人とできない人の間に生じる経済格差,すなわちデジタルデバイドの問題もあり,情報社会の便利さはありつつも多くの問題も存在する.
本研究ではWeb閲覧支援プロキシサーバを介することによって,専門用語等における理解の妨げを軽減し,情報能力の差から起きる日常生活でのデジタルデバイドの緩和に努めた.






∇ 試作したシステムについて

  本システムはApache HTTP Server(以下Apache)とDeleGateを使ったプロキシサーバを用いて,Webページの閲覧支援をするシステムであり,Internet Explorer(以下IE)上で動作する.ユーザが2つのプロキシサーバを介してWebサーバにリクエストをすると,元のHTMLデータにtitle属性を付与するフィルタリング処理をプロキシサーバ内部で施され,変換されたデータをブラウザへ返し,クライアント上に代替テキストを付与されたページが表示される(図1).

 代替テキストによる説明文の付与はITに関する専門用語を対象とし,Webページ上にある対象単語に太字・赤い文字背景色が着けられており,マウスカーソルが対象用語上に重なると代替テキストが表示される仕組みになっている(図2,図3).

本システムは,ユーザが閲覧している文のイメージ作りを助け,文の全体像を把握することを促進させることを目的としている.そのため,興味が湧いた専門用語や文章中にない専門用語,IT以外の専門用語の詳細は辞書を引いて理解を深めてもらいたい.

 開発環境はFedora Core 5環境のPCで,PC1台にApacheDeleGateの2つのサーバを構築した.ネットワーク環境は立命館大学の学内プロキシサーバを介して外部へアクセスする構造である.






   

                図1:ネットワークの構成








        

               図2:設定前の画面








             

                 図3:設定後の画面






∇ まとめ