また検査したものが長く保管されることなく過去のデータが残っていないという現状、検査結果が聞かないと知る事ができないという現状があり、受検側は受けっ放しということが多い。
検査側に知能検査の資料をデータとして容易に保管すること、受検側に検査結果を容易に知る事ができるものが必要だということより、個別式知能検査で多々使われている「田中ビネー式知能検査」をデータとして残し受検側にも結果を残せるものを試作した。
研究の背景・目的
研究の背景に知的障害者の増加がある。知的障害者数は平成12年で45.9万人になっており、平成7年で29.7万人と比べると5年で約1.5倍にも増えている。知的障害者数の増加に伴い、知能検査を受ける人数も増加している(知能検査を受けることにより知的障害があるか判断するため)。
このことから知能検査はこれからもたくさんの方が利用することが考えられる。
知能検査の問題点に、知能検査が活用されていない現状がある。
知能検査は学習指導や就学指導や障害者認定や就職活動などの目的で使用され、その頻度も高い。たくさんの人が利用するがその記録はアセスメントシートという用紙に記され、用紙だけが増えているというのが現状ある。用紙の増加により保管の期間が決まっている場所もあり、過去の検査結果が必ずしも残っていないのが現状である。また検査を受ける場所を変えても過去の記録がなく、過去の検査結果を知るために用紙を取り寄せる必要がある。
これらの問題を解決するためにVisualBasic.netを利用し知能検査である「田中ビネー式知能検査」の検査結果を残し、また受検者側にも結果を表示できるものを試作し、検査側・受検者側両者が知能検査をもっと利用できるものを作成した。
・知能検査とは個人の知能を測定する心理検査。初めフランスの心理学者アルフレッド・ビネーにより考案され、のち各国での応用・改訂を経て広く普及した。検査の結果は、精神年齢・知能指数・知能偏差値などによって表される。類似に発達検査、性格検査などがある。
目的は学習指導や就学指導や障害者認定や就職活動などがある。
・知能検査は実施方法で分類すると、精密な「個別式検査」と大量測定に向く「集団式検査」に分けるられる。
・「個別式検査」は被検者と検査官が一対一で相互に対話しながら検査する、手数はかかるが正確な検査
であり、「ビネー式」と「ウェクスラー式」が主流である。(ビネー式の中では「田中ビネー式」が主流である)
・「田中ビネー式知能検査」は1歳〜13歳級と14歳以上の成人級がある。テスト結果(IQ)に加え基底年齢、
精神年齢等も検査結果となる
試作システムの概要
このシステムは大きくアセスメントシート(査定用紙)から入力する検査側用【Form1】と、アセスメントシート(査定用紙)と検査結果から選んだアドバイスを入力する受検者側用【Form3】の二つがある。(図1、図2参照)
初期画面はアセスメントシートと同じ形であり、ボタンにより「検査側用保存」「検査側用印刷」「受検者側用印刷」「終了」を選ぶことができる。
・「検査側保存」はアセスメントシートから入力したデータが、テキスト形式で保存される。(図5参照)
・「検査側印刷」はアセスメントシートから入力したデータが印刷プレビューで確認後印刷できる。(図3参照)
・「受検者側用印刷」はアセスメントシートから入力したデータの一部(受検者にも見せてよい内容)と、検査者が検査結果から選んだアドバイス等が印刷プレビューで確認後印刷できる。(図4参照)
初期画面であるデータ入力部は田中ビネー知能検査Xのアセスメントシートとほぼ同じ形になっていて、一度アセスメントシートに入力した後でもしていなくても直接入力できるようになっている。
図1:初期入力フォーム【Form1】
図2:アドバイス用入力フォーム【Form3】
図3:検査側出力
図4:受検者側出力
図5:検査側保存
今後の課題
・アドバイス等の改良
・実際に使用してもらうなどの検証