2006 年度 卒業論文
『高齢者のためのパソコン入門講座』
情報バリアフリー研究室:杉山麻子
目次
本研究では,パソコンを敬遠しがちな高齢者にいかにパソコンを身近に感じてもらえるかを考察し,高齢者の新しい趣味や生きがいとしてパソコンを提案することで高齢者の活動の場を広げることを目的としている.実験では高齢者がパソコンを学習するなかでどういう点でつまずいているかを全て洗い出し,つまずく点の解決策を提案した.実験の進め方は本教材の学習方法をベースとしパソコンを学習してもらい被験者1人につき2時間×6回の学習を行った.また実験の初日と実験の最終日にアンケート調査を実施した.被験者は60代から80代の女性6名に協力してもらった.
その結果,高齢者にはマウス操作で連続したプルダウンメニューを出しにくい,ダブルクリックが困難などの苦手な操作がたくさん見つかった.その高齢者が苦手とする操作を高齢者にとってわかりやすい説明文,操作方法でまとめたパソコン操作集を作成した.
作成したパソコン操作集には,基本編としてパソコンを扱ったことのない高齢者が特に苦手とするマウス操作,キーボード操作,インターネット操作,ウィンドウ操作など基本的な操作を高齢者にもわかりやすい,簡単な操作方法で紹介している.また,応用編としてコントロールパネルを利用してパソコンをより高齢者が使いやすく設定する方法なども紹介している.
総務省の平成18年版「情報通信白書」[1]によれば,平成17年末の時点でのインターネット利用者数は8,529万人(人口普及率66.8%)である。次に世代別のインターネット利用率を見ると,10代から40代では約90%と利用率は高くほとんどの人がパソコンを利用していることがわかるが,50代から60代になるとやや利用率は落ち込み,60代後半からは急激に減少している.このように,高齢者層のインターネット利用者数は依然少ないことが分かる.高齢者がパソコンを利用しない理由として既存の教材では高齢者に適した操作で紹介されていないということが考えられる
そこで本研究では高齢者にも理解しやすい操作を提案することで高齢者にパソコンを身近に利用してもらうことを目的としている。
実験内容
学習の流れ
まず、アンケート調査で被験者のパソコン経験などを調査した。
そして毎回の授業で前回のテスト、学習、今回のテストという流れで学習を進め、これを計6回×6人分行った。
最後に最終的な確認テストを行い、アンケートを行う流れである。
使用した本
学習は毎日コミュニケーションズが出版している「パソコン(基本の基本編)入門」の学習内容を参考にしながら学習を進めていく.
本教材を利用する理由は,自己流の教え方では教え方に差が出て正確な統計が取りにくくなると予想されるので,教え方を一定にするためである.
被験者の年齢 60代 2名 (A,B) 性別 女性 6名 (A,B,C,D,E,F) パソコン経験 パソコン経験者 1名 (F) 自宅パソコンの有無 自宅パソコン有 3名
(C,D,F) 携帯電話の有無 携帯電話有 6名 (A,B,C,D,E,F) 携帯電話でのメール経験の有無 メール経験有 2名 (A,B) 被験者
70代 2名 (C,D)
80代 2名 (E,F)
男性 0名
パソコン未経験 5名 (A,B,C,D,E)
自宅パソコン無 3名 (A,B,E)
携帯電話無 0名
メール経験無 4名 (C,D,E,F)
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つまずいた数 |
@ パソコンの基本 |
11箇所 |
A マウスでの画面操作 |
15箇所 |
B キーボードでの文字入力と文章の保存 |
18箇所 |
Cインターネット操作 | 12箇所 |
計55箇所 |
などをしていきたいと考えている。