●研究の概要
   ●背景と目的
   ●システムの概要
   ●実行画面
   ●まとめ
   ●リンク




  

 日本では高齢化が進み,寝たきりなど介護の必要な人も増加する.今後は高齢化による
障害者の 増加 も予測される.このため福祉用具による技術的支援が不可欠となっている.
 福祉用具は利用者の能力や状態,環境に合った機器でなければ効果が薄く,場合によっては逆効果にな ってしまう場合もある.福祉用具の種類は多岐に亘っているにも拘わらず,情報が少なく馴染みが薄い機器が多い.そのため,利用者に適合した福祉用具を選ぶことが難しい.
 本研究では検索方法を質問形式にし,利用者の能力や環境について質問することによりそれらを考慮した検索ができるシステムを構築した.本研究によって,手軽に利用者に適合した福祉用具を案内でき,尚且つWebブラウザを利用することで,幅広い利用者が使用できるようにすることができたと考えられる.
 本研究は具体的な福祉用具を案内するのではなく,その人に適した福祉用具の種類を案内するものである.本研究で自分にはどういった福祉用具が合っているのかを把握することによって,自分に適合した福祉用具を探し出す助けになると考えられる.





  


 日本では世界に例を見ない速さで高齢化が進み,総人口に占める65歳以上の人口の比率(高齢化率)は1970年には7.1%だったものが,95年には14.5%2020年には25.5%と「4人に1人が高齢者」の時代が来る.これに伴い寝たきりなど介護の必要な人も増加する.障害者の数は約325万人と推計され,今後は高齢化による障害者の増加も予測される.
 しかし,家庭の高齢化が進み,「家族で支え合う」というのが,難しくなってきている.そこでこのギャップを埋める「家庭介護力の支援」が必要となり,福祉用具による技術的支援が不可欠となっている.
 福祉用具とは,障害のある人が日常生活の様々な場面を,可能な限り自分でできるよう支援する生活用具のことをいう.福祉用具を利用することにより,障害のある人でも自立した生活を送ることができ,介護者の負担を軽減することにもつながっていく.そのため,福祉用具の必要性はこれからますます高まっていくと考えられる.
 福祉用具は利用者の能力や状態,環境に合った機器でなければ効果が薄く,場合によっては逆効果になってしまう場合もある.福祉用具の種類は多岐に亘っているにも拘わらず,情報が少なく馴染みが薄い機器が多い.そのため,利用者に適合した福祉用具を選ぶことが難しい.
 いくつかの企業や団体がWebブラウザを用いて福祉用具を案内するといったシステムを用意しているが,これらのシステムのほとんどは利用者の能力や状態,環境を考慮して折らず,利用者に適合した福祉用具を案内できていないといった問題がある.
 それらの問題を解決するために本研究では検索方法を質問形式にし,利用者の能力や環境について質問することによりそれらを考慮した検索ができるシステムを構築する.
 
本研究によって,手軽に利用者に適合した福祉用具を案内できるようにし,尚且つWebブラウザを利用することで,幅広い利用者が使用できるようにすることを目的とする.
 本研究は具体的な福祉用具を案内するのではなく,その人に適した福祉用具の種類を案内するものである.本研究で自分にはどういった福祉用具が合っているのかを把握することによって,自分に適合した福祉用具を探し出す助けになると考えられる.




  

本システムはWebブラウザを用いて,福祉用具を案内するシステムである.ユーザ側においてWebブラウザを用い,画面上に表示されている質問項目で自分に該当する答えに対してチェックをすることで,自分に適した福祉用具の情報を取得することができる.

 本システムでは移動の福祉用具(車いす,杖,歩行器)を案内対象にすることにした.移動という行為は生活する上で最も重要であり,また移動の福祉用具というのは様々な種類があるため,案内する価値が高いのではないかと考え案内対象に決定した.移動の福祉用具の中でも種類が多く需要の高い、車いす、杖、歩行器の3種の機器に絞って案内することにした。


 まずユーザ側で検索したい福祉用具の種類(車いす,杖,歩行器)を選択する.選択した福祉用具の種類が杖か歩行器であれば要望質問回答に移る.車いすを選択した場合は,能力質問回答に移る.
 次に能力質問回答の説明をする.ここでは能力に対する質問が表示される.ユーザ側において質問項目に対する答えがチェックされるとその情報が配列に格納される.そして「次のページへ」と表示されたボタンをクリックすることで,回答データを基に次に表示する質問ページを選ばれ,そのアドレスへジャンプする.ここまではユーザ側プログラム内で処理される.
 次に要望質問回答の説明に移る.ここでは要望に関する質問が表示される.ここでも質問項目に対する答えがチェックされるとその情報が配列に格納される.そして通信ボタンが押されると通信処理に移り,サーバ側との通信を開始する.サーバ側は常に接続待機状態になっており,ユーザ側からの接続要求があると接続状態になる.そして回答の情報が格納された配列をサーバ側に送信する.サーバ側は受信した配列を福祉用具抽出処理によって最適な福祉用具を抽出する.抽出した情報を基にHTMLファイルを生成する.そして,結果が書き込まれたHTMLファイルのアドレスをユーザ側に送信する.ユーザ側では,受信したアドレスにアクセスし結果を見る,という処理の流れになっている.












  

 本研究では,利用者に適合した福祉用具を見つけ出すのが困難であるという問題点を解決するために,Javaにより「福祉用具案内システム案内システム」を作成した.既存の案内システムでは,検索方法が難しく,自分に合った機器を探すのが困難であるのに対して,本システムでは,検索を質問形式で行うことによって,より簡単に検索できるようになった.またユーザ,サーバ間のデータの送受信において,ソケット通信を用いることで,より信頼性の高いシステムを提供することができた.
 本システムでは,Webアクセシビリティへの配慮も重要な項目であった.そのため,ユーザ画面において,質問文の音声合成出力の実現,チェックによる質問文の色を変化,サービス一覧画面において,サービス名だけでなく,図にもリンク挿入,ホームページリーダーで読み込んだ際,図も読上げるためのalt属性の付加を行った.
 よりユーザに適した福祉用具が案内されるよう,数々の資料,文献から質問項目を選定した.評価結果からも,本システムを利用して案内された福祉用具の中に,その方のご家族が実際に利用している福祉用具も案内されたので,本システムの福祉用具案内は有効だと考えられる.また,本研究では案内する福祉用具を車いす,杖,歩行器に絞ったが,案内する福祉用具の幅を広げることで,よりユーザにとって使う価値のあるシステムになると考えられる.
 
現段階では,案内している数が少ないことや,説明,質問が完璧でないことから,完璧なシステムとは言えないので,今後さらに改善して使いやすいシステムにする必要がある.更に改善を重ね,このシステム利用した人が,今まで困難だと思われていた機器選択が簡単になり,ユーザが必要とする福祉用具を案内できることを祈っている.そして知らず知らずに狭くなっていた生活領域を,少しでも拡げ,豊かで積極的な日々が送ることができることを願っている.




  

  ●立命館大学

  ●立命館大学 情報理工学部

  ●情報バリアフリー研究室(教員)

   ●情報バリアフリー研究室(学生)




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