●研究の概要
   ●社会背景
   ●障害者スポーツとは
   ●障害者スポーツ普及における現状
   ●システムについて
   ●まとめ
   ●リンク




  

    健常者は時間や環境さえ整えば,容易にスポーツ,レクリエーション,文化活動を実施で
   きる.しかし,身体障害者になると自身の障害が制約となり,趣味などが見付けられずに社
   会参加の妨げになっている。
    そこで,本研究では,身体障害者の社会参加の促進を目的として,障害部位を入力すると
   自分に適合するスポーツと,そのスポーツが実施できる団体情報を提供するシステムを試作
   した.




  

    現在,人口の高齢化に伴い,障害者が増加している.原因として,中高年における脳卒中
   などの後遺症により,中途障害者になるケースが増加しているためである.
    この対策として,厚生労働省や文部科学省では

   ●医療・福祉制度,サービスなどの改善
   ●
スポーツ,レクリエーション,文化活動の推進

   などが行われている.
   ここで,なぜスポーツ,リクリエーション,文化活動が推進されているかというと,これら
   は外出の機会を与え,健康維持増進に有効であるなどの効果が期待できるためである.
    よって,近年では病気や障害の増悪化を
予防するということに重点が置かれている.



  

    障害者スポーツとは,すべての障害者が参加できるようにルールや規則を変更して行って
   いるスポーツのことである.現在,これらのスポーツは各都道府県や自治体が運営する障害
   者スポーツセンターなどを中心に実施されていることが多い.
    では,具体的にどのようなスポーツがあるのかを説明する.

              
    図1: 車椅子ツインバスケットボール  図2: 自転車競技(視覚障害者部門)
                             
(財)日本障害者スポーツ協会より提供

    図1では,車椅子ツインバスケットボールを行っている.写真中央にあるゴールは,従来の
   ゴールと比べると格段に低いことが分かる.これは,上肢に障害があるために高い位置まで
   ボールを投げることができない障害者のことを考慮し,ルールの変更が行われているためで
   ある.
    図2では,特殊な二人乗りの自転車を用いて実施する自転車競技である.後方に乗っている
   のは視覚障害者であり,ハンドル操作ができない.そのため,前方に乗っている健常者が運
   転を行う.このように,障害者と健常者が協力し合うのが特徴である.
    他の障害者スポーツにおいても,様々な工夫がされているものが多い.また,近年では図2
   のように障害者と健常者が一緒になって行うものや,障害の有無や性別,年齢に関係なく実
   施できるものが生まれるなどスポーツのユニバーサルデザイン化も進み,今後の発展が予想
   されている.




  

    近年における障害者スポーツの発展を述べてきたが,現状としてすべての障害者がスポー
   ツを実施しているわけではない.図3は,高知県が障害者を対象に実施した「スポーツがで
   きない理由」のアンケート結果を示したものである.これより,ほとんどの項目がが障害者
   スポーツの実施情報の不足などが原因であることが分かる.

          
              図3: 障害者スポーツができない理由     
                                  
高知県障害者計画より抜粋

    このような現状より,
障害者スポーツの案内実施団体情報を検索できるシステムを作
   成することによって,問題が解決できるのではないかと考えました.




  

    本システムは,3つの画面より構成されている.

   
1. 障害部位入力部
    システムを起動すると,最初に障害部位を入力する画面が表示される.ここでは,

   ●上肢に障害がある
   ●下肢に障害がある
   ●視覚に障害がある
   ●聴覚に障害がある
   ●知的に障害がある
   ●内臓に障害がある

   の選択項目の中から選択を行う.また,選択に応じて,右の画像が変更されるようになって
   いる.図4と図5は,「上肢に障害がある」から「下肢に障害がある」に変更した場合のもの
   である.決定ボタンが押されると,選択した情報が次の画面に渡される.

        
      図4: 障害部位入力部1              図5: 障害部位入力部2


   
2. 適合スポーツ出力部
    ここでは,障害部位入力部での選択に応じて,適合スポーツがリストに表示される.次に
   リストより興味のあるものを選択することによって,説明文,実施中の画像,実施可能部位
   画像が表示される.最後に,選択した適合スポーツの実施団体情報を検索する際の所在地絞
   り込み検索ができる.また,出力結果を印刷する機能を付けた.
    図6は,アルペンスキーを表示した画面である.

 
                  図6: 適合スポーツ出力部


   
3. 実施団体情報出力部
    ここでは,適合スポーツ出力部において選択されたスポーツ,所在地に応じて実施団体の
   情報が表示される.上部に該当の団体が表示され,その中から選択すると下部に詳しい情報
   が表示される.また,出力結果を印刷する機能を付けた.
    図7は,「アルペンスキー」,「大阪」で検索した結果を表示した画面である.

   
    
                図7: 実施団体情報出力部



  

    本システムでは,引きこもり傾向のある障害者に,自分に適合するスポーツを案内し,

   施団体情報を案内するシステムの試作を行った.このシステムを使用し,スポーツを行うこ
   とによって,次のような効果が考えられる.

   ●リハビリテーションに有効
   ●健康維持・増進に有効
   ●外出の機会を与える
   ●交流の幅を広くする
   ●生きがいを与える

    しかし,今後の課題として,次のようなことが挙げられる.

   ●実施団体情報の検索範囲を関西から全国へ
   ●適合スポーツの紹介画像を動画へ

   これらより,データベースを用いたシステムを構築することが改善策であると考えられる.



  

  ●立命館大学

  ●立命館大学 情報理工学部

  ●情報バリアフリー研究室(教員)

   ●情報バリアフリー研究室(学生)




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