●研究の概要
   ●背景と目的
   ●システム概要
   ●経路探索方法
   ●出力画面
   ●まとめ
   ●リンク




  
     今日,車いすの普及や,障害者・高齢者の増加により車いす利用者が増加している.それにもかかわらず,
    車いすの特性を加味した経路案内システムがない.一般的に利用されている経路案内システムは,あくまで
    健常者向けであり,車いす利用者にとっての障害を考慮しているわけではない.ほんの小さな穴や傾斜でも,
    車いす利用者にとっては大きな障害になりうるものであり,大事故になりかねない.また,車いすにもさまざまな
    種類があり,種類により型や重量は大きく異なり,行動範囲も大きく異なる.車いす利用者が安心して,かつ快適に
    外出するためには,車いす利用者の目線にたったシステムが必要である.最短の経路を案内することも大事だが,
    まずは第一に利用者にとって安全な経路を案内することで,車いす利用者が外出の際にもつ不安を取り除くことが
    重要であると考える. 
      以上の背景から本研究では,車いす利用者の特性を加味した最適経路案内システムの作成を目的とする.利用者の
    障害物の入力条件を基に,最適な経路を案内する.それにより利用者の外出の際の不安を除去できると考えられる.
    また,本研究は同研究室の高瀬氏と共同で開発しており,高瀬氏が入出力部を作成し,
    経路探索部を林が作成した.



  
  
        
 今日,車いす利用者の外出機会が増加している.また,車いすにはさまざまな種類があり,それぞれ
性能や使用目的が異なる.車いすには手動式と電動式があり,手動式とはよく目にする一般的な手漕ぎのもので
あり,電動式とはモーターが取り付いているものである.これらは,重量・駆動力が大きく異なる.しかし,それにもかかわらずそれぞれの特性を加味したシステムがないというのが現状である.
 そこで本研究では,車いすの特性を加味した3種類の入力条件(縦断勾配・横断勾配・段差)をユーザが指定
できることで,安全かつ快適に外出できることを目的とする.




  

 本システムはWebブラウザを用いて,車いす利用者の為の最適経路を案内するシステムである.ユーザ側においてWebブラウザを用い,画面上に表示されている障害物の条件を入力することで,
自分の入力条件を満たした最短な経路を取得することができる.

 本システムは,ユーザの入力条件(縦断勾配・横断勾配・段差)から導出された最適経路と総移動距離を地図上に表示するものである.
 システムの構成は,
(1)出発地・目的地・条件の入力(入出力部)
(2)最適経路の検出(経路探索部)
(3)総移動距離の導出(経路探索部)
(4)最適経路・総移動距離の表示移動(入出力部)
である.
 ユーザが条件を入力すると,サーバはその入力条件を基に最適な経路と総移動距離を導出する.このうち(1)(4)の入出力部を高瀬が作成し,経路探索部を林が作成した.


 システムの特徴として,入力条件は3種類である.駆動力の差・基準となる指標の有無などの理由から,
入力条件はこの3種類に限定した.縦断勾配・横断勾配に関しては,それぞれの障害の文字説明に加え
写真を添えることで,視覚的にわかりやすくした.ユーザは選択肢から1つ選択する形となる.段差に関しては,通行可能な数値を入力する形となる.
 地図の表示に関して,道路の左右どちらを通るかが表示され,障害のある地点のリンクが色付きで
表示される.また総移動距離も表示される.





            

   
経路探索に関して,一般的な経路探索にはダイクストラ法を用いるいるが,私たちのシステムではユーザの入力条件を
    考慮するために,前処理として入力条件を満たさない経路は削除する必要がある.
      よって本システムでは,経路探索の流れとして,まず障害物に対する入力条件を考慮し,その上でダイクストラ法を使用
    する形となる.それにより,ユーザの入力条件を満たす経路内で最短な経路が導出される.





  

 
      出力画面の説明として,
     @障害物のある地点のリンクが色付きで表示
       A道路の左右どちらを通るかが表示
       B総移動距離の表示
         である.



   
   
本研究では,車いす利用者が安全かつ快適に外出できるための車いす最適経路案内システム案内を作成した.
    日頃,我々が利用する経路案内システムは主に健常者向けであり,障害者や車いす利用者のことを考慮していない. 
    健常者が普段何気なく歩いている坂道や段差は,車いす利用者にとっては大きな障害である.車いす利用者の
    視点に立ったら,横を車が通過するだけでも恐怖を感じるものである.
     本システムでは,障害物の入力条件を3種類に限定したが,さらに多くの条件が追加されたら,車いす利用者が
    より安全かつ快適に外出できるだろう.今日,車いす利用者にとって有用な多くの情報(スロープの有無,
    エレベーターの設置状況,車いすトイレの設置状況)をのせた車いすマップが存在している.将来的には,
    経路案内システムと車いすマップを結合させればより利用者が使いやすくなるだろう.
     今後はシステムの改良とともに車いすマップとの統合も考えていきたい.



  

  ●立命館大学

  ●立命館大学 情報理工学部

  ●情報バリアフリー研究室(教員)

  ●情報バリアフリー研究室(学生)




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