考察


若年者,高齢者ともに視覚的に捉えられる“図”は分かりやすさに大きく影響を与えていることが分かった.高齢者は若年者に比べて“文字の大きさ”と“ジャンプの有無”について,分かりやすさに影響が大きく,若年者に関しては“専門用語の注釈の有無”,“区別の有無”はほとんど影響がないことが分かった.
次に5つの要因について各々考察を行い,後に回帰式の精度について説明と考察を行う.


(1)図について
若年者,高齢者ともに,“図の有無”が最も分かりやすさに影響していることが分かった.その理由として文章を読まずに視覚的に捉えることができること,またボタンの位置など文章では分かりにくい位置情報がすぐに理解できたということが挙げられる.

(2)区別について
若年者には,影響がないに等しい.若年者にとっては文章が少ない量であれば,操作文,補足文とも容易に読めるので,区別をつける必要がないようである.一方,高齢者には区別がある方が分かりやすい.その理由として必要な部分がすぐに分かり,読む量が減ったことが挙げられる.若年者に比べると高齢者は文章を読むのが大きな負担となることからこのような結果になったと考えられる.

(3)ジャンプについて
若年者,高齢者ともにない方が分かりやすいという結果となった.特に高齢者にとっては,ジャンプがあると,分かりにくくなることが分かった.違う頁を参照するのは面倒くさく,操作が多くなるので負担になるということが言える.

(4)専門用語の注釈について
若年者,高齢者ともに影響が低かった.今回評価試験で使用した専門用語は若年者に対しては“タップ”と“ドロップダウンリスト”である.高齢者に対しては“LCD”,“シフト”,“レビュー”である.用語の意味は理解できなくても文章の流れから予測することができ,他の要因ほど影響は出なかった.

(5)文字サイズについて
若年者,高齢者ともに9pは小さくて見にくいということがわかった.若年者は10.5p,12pの間にほとんど差はなく,見易さの影響は変わらない.高齢者は10.5pと12pの間に差があり,大きい方がより見やすいことが分かった.若年者にとってはある程度の大きさであれば容易に見ることができ,逆に12pは大きすぎるという意見もあった.