2003年度卒業 岡本泰明

反応時間に基づくわかりやすいサインの分析



目次
1:概要

・研究目的

2:研究内容

・サインについて
・評価試験
・評価次元


3:シミュレーションソフト

・シミュレーションソフトの内容
・タッチパネルの利用
・シミュレーションソフトの流れ
・被験者

4:研究結果


1:概要

 本研究はシミュレーションソフトを使い反応時間を数値であらわすことにより、”わかりやすい”というものを客観的に示した。

研究の目的

1:高齢化社会、国際社会と言われる現代の時代背景を踏まえると、生活にかかわるサインにはわかりづらいものが多いのではないかという疑問が生じたこと。

2:誰にでもよりよいものをという”ユニバーサルデザイン”の考えのもとに”わかりやすい”とは何なのか調査する。そのことで、自分の視野が広げられると考える。


2:研究内容

・サインについて
形
 識等の形は、第一に視覚に入るものとして重要とされ、目立つことが1番の目的。

色
 人間の視覚に訴えやすい色。
 色は人間の心理的意味を持つ。

・評価試験

 今回の最大の目標である”わかりやすい”を数値として出せるような、シミュレーションソフトを作成した。

・評価次元

1)色

 色が他のボタンと違うことでの反応時間の変化。

2)形・大きさ

 ボタンの大きさが変化することで反応時間の変化。

3)文字表記

 英語表記、漢字表記、ひらがな表記をする。

4)記号

 実社会に存在するもの、自作記号。


3:シミュレーションソフト

・シミュレーションソフトの内容
 実生活でよく見かけるシチュエーションにするため、エレベーターの開閉ボタン、テレビ等のリモコンの電源ボタンに対する反応時間を調査できる。

具体的説明
 今回作成したシミュレーションソフトは、ゲームということで評価試験を行うために作成した。内容は8階建てビルに入り、それぞれの部屋の条件をクリアしてもらうものである。それぞれの階のクリア条件を満たすとエレベーターの部屋に進み、それに乗って次の階へ進んでもらう。それぞれの部屋のクリアする時間を計ることで、サイン/シンボルの反応時間を測定する。

1

テレビの部屋

 

 

エレベーター

2

ビデオの部屋

CD/MDの部屋

 

エレベーター

3

テレビの部屋

SkyPerfectTVの部屋

CD/MDの部屋

エレベーター

4

テレビの部屋

CD/MDの部屋

 

エレベーター

5

ビデオの部屋

テレビの部屋

 

エレベーター

6

ビデオの部屋

 

 

エレベーター

7

CD/MDの部屋

SkyPerfectTVの部屋

 

エレベーター

8

テレビの部屋

ビデオの部屋

 

エレベーター



部屋数

15部屋

エレベーター

8フロア

・タッチパネルの利用
 マウスでは、ボタンの配置によって、ポイントの移動時間が異なってしまう。それを防ぎより条件を均一にするためにタッチパネルを用いた。

・シミュレーションソフトの流れ

1)リモコンの反応時間を調べるときの流れ

・・・・このような流れで、4つのパターンのリモコンが合計で15部屋存在する。

2)エレベーターの反応時間を調べるときの流れ

・・・・このような流れで、9つのエレベーターが存在する。

・被験者
 今回の評価試験ではユニバーサルデザインの考えのもと、高齢者の方にも評価試験にご協力いただいた。

学生層 23名
高齢者層 5名

4:研究結果

1)色の有用性(ボタン数の影響)

 選択する範囲のボタン数が多くなるにつれて、色の有用性が高くなる。



上の@〜Cまでの平均反応時間
@2.5秒
A2.2秒
B3.2秒
C2.1秒
2)英語のバリア

 学生層には問題なく思われるものでも、高齢層にとって大きなバリアになっている。



上のそれぞれの平均反応時間
漢字:学生層・・・1.9秒  高齢層・・・3.1秒 
英語:学生層・・・1.3秒  高齢層・・・5.1秒

3)ひらがな表記

 今回はわかりづらい漢字表記があった。そのためにひらがな表記の有用性が確かめられた。今後、小さな子供にでもわかるように必要になるものではないのか。