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北岡卒業研究2003年度
「バリアフリーリモコンソフトの試作」

何のために?

現在のリモートコントローラ(以下リモコン)の使用方法ではリモコンの本来の性能を十分に引き出せていないと考えられます。なぜなら、家庭内で使用されるほとんどの機器にリモートコントロール機能が搭載されています。そのため、リモコンの数は増加していますが、それぞれのリモコンを複数のユーザが共同に使用しています。そのため、各々がリモコンの所在位置を把握することが困難となり、必要な状況でそのリモコンを使用することができないのです。
そこで、リモートコントロール機能を有するすべての機器を操作でき、かつ扱いやすいリモコンを各ユーザが所有することで、問題の解決を図ります。


何をしたか?

1.リモコンソフトの作成

 「リモコンの使用に関するアンケート」(2002年度実施)の調査結果をもとに、メモリを内蔵した赤外線送受信装置(クロッサム)と、VBで記述したソフトウェアによりPCリモコンを実現しました。

2.リモコン信号のデコード
 学習した信号をデータ化するためにはデコードする必要があります。そこで、ソフトウェアに実装した「メモリ読出」機能により、クロッサムにあらかじめ内蔵されているデータを読み出し、プログラムに実装しました。また、内蔵されていないデータは、クロッサムの学習機能よりクロッサム本体に取り込んだのちに、内蔵データと同様に「メモリ読出」で読み出しました。



何が分かったか?

1.リモコンソフトの作成


 主に使用するボタンは、背景色が黄色で文字が黒色となっているため、他ボタンよりも強調され見やすかったです。また、ボタンのサイズも大きく設定され、選択機種も表示されているため押しやすく、誤操作が減ると考えられます。簡易モードでは、ボタン数が限定され、シンプルな画面となっているため、迷うことなく目的の機能ボタンを探し出せました。 高機能モードでは、リモコン機能は簡易モードと同様に表示されているため、表示を切り替えた際にも特に戸惑うことはなく操作できました。リモコン機能の変更を行う際は手順が複雑となるが、処理を行う度に処理についてのメッセージが表示されるので、処理が間違っているかどうかが判りやすいため、少し慣れれば円滑に操作できるようになりました。しかし、クロッサムのダイヤルとボタンをテキスト入力し送信を行う機能は、信号の内容が表示されないため、ユーザが記憶しておく必要があり、慣れたユーザのみ使う機能となると考えられます。しかし、3つのコンボボックス選択と、ボタンを押す必要はあるが、メーカ、機種、機能から信号を選択できる機能があるため、十分に代用ができると考えられます。


2.リモコン信号のデコード
 
シャープ製テレビの電源信号を例に挙げます。クロッサム本体に内蔵されていたデータは

00e310・・・・・・・・・・(a)

です。一方、学習機能により取り込んだデータ(リモコン本体が異なれば、内臓信号が異なる可能性があるため、2台のクロッサムを用意し、一方のクロッサム送信信号をもう一方のクロッサムで受信)は

0004216b02002012009c0100e20700d001
0014ba0b9010056fe3e011111001011101
201111011010000201111100101110120
111101101000103ff・・・・・(b)

となりました。

 (b)は(a)と比較し、信号長は長いのですが、そのままメモリに登録し、信号を送信した場合に(a)と(b)は同様の動作結果を得ました。ゆえに、学習機能により得た信号はそのまま信号データとして扱いました。

変調前のデータ量と変調後に学習されたデータ量は明らかに異なるため、クロッサムの内部で、変調前か、変調後かを判別し、変調前のデータであれば変調後にデータ送信、変調後のデータであれば変調せずにデータ送信を行ない、同様の動作結果が得られていると考えられます。この仮説が正しければ、時間単位ごとに逆変換を行なうことによって、(b)から(a)を得ることが可能なはずですが、本研究では動作を目的としたため、検証は今後の課題とします。


動作画面

          
   図1 簡易モード                    図2 高機能モード

動作は図1の簡易モード、図2の高機能モードの2つのモードにより、動作します。
複雑な機能を必要としない、または手軽に使用したいなどの場合には、操作が容易な簡易モードの使用を推奨します。
そして、簡易モードのリモコン機能の登録変更や、簡易モードで実装されていない信号の送信などは、高機能モードによって行なえます。高機能モードの方が様々なことが行なえるため、個人的には高機能モードの使用を推奨します。
2つのモードを搭載したことにより、好みに応じて使い分けることができるため、ユーザ層の幅が広がることが予想されます。


外部研究


北岡 実紀・篠田 未理・蛭川  渉・樋口 宜男 : "汎用学習リモコンに関するニーズ調査とタッチパネル上での試作," リハビリテーション工学カンファレンス講演論文集, pp. 313-314 (2003-8).


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